ジオツーリズムを通じた観光地づくりこの度の東日本大震災により、多くの尊い命が失しなわれたことに深い哀悼の意を捧げます。被災された皆様には心よりお見舞い申し上げ、一日も早い復旧復興を祈念いたします。
将来へ向け語り継ぐ歴史 今回の地震は、「変動帯」に位置する日本列島の特徴的な自然現象です。地球の活動は、時に甚大な被害を引き起こしますが、ジオパークの根幹となる地質や地形は、過去からの地球の営みの積み重ねで形成されたものであることに、思いを馳せることも大切です。
幾度の噴火を体験している洞爺湖有珠山地域で生活する人々にとっても人ごとではない、厳しく、辛い今の被災者の境遇を理解できる立場にあるのではないでしょうか。「未曾有」の一言では片づけられない思いを、将来へ向けて語り次ぐ歴史、防災の重要性などを、改めて噛みしめるときでもあります。
洞爺湖有珠山ジオパークは2009年8月、新潟県の糸魚川ジオパーク、長崎県の島原半島ジオパークとともに日本で初めて「世界ジオパーク」として登録されました。洞爺湖有珠山周辺は、活火山による大地の移り変わりがふんだんに見られる貴重な場所です。
今から約11年前に巨大な噴火による火砕流が発生し、カルデラ湖である洞爺湖が生まれました。そして2万年前くらい前から洞爺湖の南岸で噴火が繰り返され有珠山が誕生しました。有珠山は7~8千年前の山体崩壊のあと、江戸時代まで噴火を休んでいましたが、1663年に噴火を再開し、その後2000年までに9回の噴火を繰り返しています。
このように数十年に一度の割合で激しい変動を見せる洞爺湖有珠山地域は、荒々しい大地の変動を体感することのできる貴重な学習の場であるとともに、地質遺産や雄大で美しい自然遺産、さらに縄文遺跡など多くの見どころがあります。
観光、教育、防災を視点に 9月29日から10月1日まで洞爺湖文化センターを主会場に「第2回日本ジオパーク全国大会洞爺湖有珠山大会」を開催します。テーマは、「ジオツーリズムを通じた観光地づくり~変動する大地との共生~」です。ジオパークを推進している地域と、この地域の皆さまがともに観光、教育、防災をキーワードに、「地球と人間の関わり」「防災と観光の融合」「震災後の日本再生」などについて広く議論し、ジオパークが果たす役割や推進のあり方などについて、考えることを目指します。
大会前日の9月28日から10月1日までの期間中は、洞爺湖サミット記念館4階特設会場で、ジオパークの活動紹介ポスターや児童、生徒の絵画・俳句、「第1回ジオパークフォトコンテスト」の入賞作品なども展示します。また、9月30日から10月1日まで洞爺湖文化センター前では、ジオパークの大地からの恵みを多数販売する「物産展も開かれます。
大会初日の9月29日は、壮瞥中学校の生徒に同行し銀沼火口や小有珠などを巡り地質、防災教育を見学するジオツアーがあります。また日本国内の世界ジオパークネットワーク加盟地、道内からの事例発表会も楽しみです。
果たす役割を考える機会 大会2日目の9月30日は、洞爺湖文化センターで、第1部のシンポジウムとして、北海道大学名誉教授の岡田弘氏、伊達市噴火湾文化研究所所長の大島直行氏の基調講演ととうや湖温泉旅館組合長の三浦和則氏らによるパネルディスカッション。第2部では作家・倉本聡氏の講演と、NPO法人防災情報機構会長の伊藤和明氏、三松正夫記念館館長の三松三朗氏を交えた対談(事前配布の整理券が必要)もあります。
最終日の10月1日のジオツアーでは、縄文・アイヌ・和人の文化と自然との共生の歴史に触れる「歴史・文化体験コース」や、1944年、1977年の噴火遺構の昭和新山や有珠山火口展望台などを巡り、変動する大地を体験するコースなどに参加できます(事前の申し込みが必要)。このほかにも小学生向けの地球や地質についての実験・体験屋台「ジオフェスティバル」など、多彩なプログラムを予定しています。
歴史的な転機にある日本において、ジオパークが果たす役割を考える意義深い機会になることと期待しています。地域の皆さまのご参加を心からお待ちしています。
(第2回日本ジオパーク洞爺湖有珠山大会組織委員長・真屋敏春)